轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ちはゆたかなり

地は饒なり

宮本 百合子

「中央公論」1918(大正7)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页

青空文庫

。

もちろん、これよりは深く、複雑な苦痛であったには違いないが、その苦痛を忘れさせるには十分な興味が、彼女にも、今与えられたのである。

彼女は、始めてホッとした。

そして、満足の溜息をつき、何だかよく見えないような眼を両手でこすりながら、物珍らしい周囲を見まわした。

美しい校舎や、森や。しゃんとした友達や、面白い学課や……。

古ぼけて歪み、暗くて塵だらけだった建物の中で、餓え渇いて、ガツガツと歯をならしていたあらゆる感情、まったくあらゆる感情とほか云いようのない種々様々な感情の渇仰が、皆一どきに満たされ、潤されるのを感じたのであった。

どれをどうと説明出来ないほど、生活の豊富と、活動の光栄に打たれた。

隅から隅までたんのうした彼女は、今までの周囲と比較すれば、問題にもならないほどの趣味性の差異が齎らすどこともいわれない大らかな雰囲気のうちに、ホコッと眼を瞑り、頭を垂れて浸って行ったのである。

不自然な重圧をようようとりのけられた彼女の無邪気さ、絶対的な従順さが、天にも舞い昇りそうな意気とともに、躍り上り、跳ね上りながら奔流し始めたのである。

一日中で一番長い放課時間に、彼女はよく、校舎の後を抱えるようにしてこんもりと茂り、いつも青々としている小高い森へ入って行った。