轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちはゆたかなり
地は饒なり
宮本 百合子
「中央公論」1918(大正7)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页
二
堪らなく悲しい。
けれども、そのときの悲しみ、涙は、もう生きているのが厭さに落す涙でもなければ、悲歎でもない。
不幸な若死をした自分を悼む涙であり、死なれた周囲に同情する悲しみである。
あれほど魂の安息所のようにも、麗わしい楽園のようにも思われた魅力は跡かたもなく消えて、今、死は明かに拒絶され、追放される。
「死ぬのはこわい」という恐怖が目覚めて、大いそぎで涙を拭く彼女は、激情の緩和された後の疲れた平穏さと、まだ何処にか遺っている苦しくない程度の憂鬱に浸って、優雅な蒼白い光りに包まれながら、無限の韻律に顫える万物の神秘に、過ぎ去った夢の影を追うのであった。
二
遠い遠い昔の幾百年かの間、我々の祖先の人々が思っていた通りに、あらゆる感情は、ただ胸によってのみ感受され、発動されるものだと仮定すれば、この時代の彼女の全生活は、その感情の宮殿の圏外には、一歩も踏み出さない範囲において進行していたのである。
「考えること」と、「感じること」とは、まったく混同して、彼女自身は、一生懸命に頭で考えたと思っていることも、よく調べてみれば「ただそうだと胸が感じた」ことというに過ぎなかった。