轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ちはゆたかなり
地は饒なり
宮本 百合子
「中央公論」1918(大正7)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,874 字 · 57 页
三
そのときの、その通りの心持が今、彼女の胸を満たしたのである。
三
偉い人というのは……、
どこかで声が聞える。彼女は耳を澄ませ、大急ぎでその方に駈けつける。
そして、一生懸命に聞こうとするけれども、よく聞え、よく透ったのは最初のその一句だけで、後の大切だと思われるところは、何だか声が小さかったり、言葉が混雑していたりして、いくら気をつけても、ちゃんとした意味が飲みこめない。
これでは困ると思ってしまいに、体を動かしたり、目を瞑ったりして聞きしめようとしているうちに、話し手は、また、一番初めと同じ勢のいい、賑やかな声で、
それ故、あなたがたも、皆修養して、立派な人格の所有者とならなければなりません。
と云うと、待ちかまえていたような、拍手が起る。お辞儀をする。そして、お話はもうすんでしまったのである。
せっかく気を張りきって、多くの期待を持って駈けつけた彼女は、失望せずにはいられなかった。
耳を傾けてみると、もうびっくりするほど、あっちこっちで人格の力、人格の修養、完成という言葉が叫ばれている。ほんとに大きな、怒ったような声や、鋭い、刺すような声が、話すのではなくて叫んでいる。