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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

――といって、ここで私が引下がる手はあるまい。私は強いて自分の心を激励しながら、ピース提督に対した。

「提督、貴艦隊はなんの目的をもって、北上せられつつあるか」

私は、質問の第一矢を放った。司令官は、眼をぎょっとうごかして、

「それは、日本民族を、大東亜共栄圏から、叩きだすことにあるのだ」

「なに、日本民族を叩き出すといわれるか。日本民族を、元の日本内地へ押しこめることではないのか」

「ちがう。日本民族を叩きだすのだ」

「では、叩きだして、どこへ送るのか」

「適宜に使役するつもりだ。家僕として、日本人はなかなかよくつとめる」

「無礼なことをいうな」

と、私は思わず提督の机上の書類函をとって、机の上に叩きつけた。電報紙は、ばらばらと宙に飛んだ。

「四次元の人、乱暴はよせ。君は、紳士と話しているのだ」

「何が紳士か」

と私は、また呶鳴りつけたのだった。

「貴官は、日本民族を、家僕として使役するつもりだといっているのだ。日本民族が、アメリカ人の家僕などになってたまるか」

「おや、君はへんなことに腹を立てるではないか。――いや、日本人が使役されることを好まなければ、余は彼等を海の中になげこむばかりだ」