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ちきゅうようさい

地球要塞

海野 十三

「譚海」1940(昭和15)年8月~1941(昭和16)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 71,834 字 · 144 页

青空文庫

まず話題は、ここへ来る途次、私の惹き起したポーランド女の殺害事件についてであった。

元帥は、私たちの報告を、しずかにうなずきつつ、聞き入っていたが、

「まあ、その辺で、話の筋は分った。いずれにしろ、大東亜共栄圏を侵略しようという敵国の肚の中が、手にとるように分る。黒馬博士に、とつぜん帰国を願ったのも実はそのためじゃ」

私は、元帥が、なにか思いちがいをしているのではないかと思った。

「元帥閣下、大東亜共栄圏を侵略しようとする外国があるにしても、只今すぐには、手が出ないのではありませんか」

「なぜじゃ、それは……」

「でも、只今、米連と欧弗同盟とは、第三次の戦争を起そうとしています。一方は北南アメリカ大陸に陣どり、他方はヨーロッパとアフリカの両大陸を武装し、これから喰うか喰われるかの大戦闘が始まるのではありませんか。ですから、只今、大東亜共栄圏に手を伸ばすにも、その余裕がない筈です。そうではありませんか」

「うん、われわれも、昨日までは、そう思っていた。そう信じていたのじゃ。ところが、昨日になって、おどろくべき真相が曝露したのじゃ」

元帥は、沈痛な面持でいった。