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あおいはらふじんのたいつり

垢石釣游記

佐藤 垢石

佐藤垢石『垢石釣游記』。同一底本的分册已合并为一书。收入:葵原夫人の鯛釣、青鱚脚立釣、秋の鮎、蛙を食う岩魚、河鱸遡上一考、鯨を釣る、小鰺釣、さしみ、戦場ヶ原の渓谷、早春の山女魚、釣聖伝、釣場の研究、弟子自慢、道具と餌と天候、アンコウの味、夏釣日記、冬の鯊釣、夜の黒鯛、ガラガラ釣。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 46,298 字 · 100 页

青空文庫

白い、太い腹を横に見せた。止めを刺したのである。腹を横に見せた鯨の大きいこと――。

「四十七、八尺はあるだろう」

丹下船長は、止めの一発がたしかに心臓を破ったのを見届けると、砲台からガンウェーを歩いて静かに船橋へ帰ってきて、僕等にこういった。

「雌鯨だ。これは鰮鯨で大した値打のあるものではないが、これでも一頭三千円はする。海には、これ以上の大物がいくらでも泳いでいるのだから大したものだ」

それから、その鯨の腹へ空気をポンプで送り込み、印の旗を立て海上へ浮し離した。鯨は白い大きな腹を上にして、広い海にフワフワただよった。

こうして置いて、今撃った砲の音に驚いて何処かへ姿を隠した他の鯨の群を探しに行くのである。けれど、一度砲に驚いた鰮鯨は素敵に狡猾になっている。三十分ばかり船を走らして、鯨群に追い着いたけれど、もう彼等はなかなか船を射程距離まで近づけない。二頭で体を並べて逃げ廻る鯨を二時間ばかり追い廻したが、ついに正確に砲を撃つ機会に恵まれなかった。

「一頭とれば十分じゃないか――」

もっと頑張ろうという丹下船長に、村田氏はこういうのだ。第二京丸が、大きな鯨を舷側へ横づけにして、鮎川港へ引きあげたのは八日午前二時であった。