轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かわる

変る

豊島 与志雄

「知性」1942(昭和17)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,972 字 · 14 页

青空文庫

「立派なギリシャ型の顔ですな。」

こんどは、何の反応もなく、その横顔の筋肉一つ動かなかった。大五郎のことを全く無視してる態度である。

だが、斜後ろの方から、しゃがれた女の声が飛んできた。

「お酒は一本きりですから、すんだら帰って下さいね。ここは、酒をのむところで、お饒舌りをするところではありませんからね。」

それぐらいの女の声には、大五郎は何の痛痒も感じない。彼はゆっくり椅子から立上って、その方を向いた。そこの、土間から低い框になって、畳の敷いてあるところに、鮨の盆をのせた餉台をかこんで、商人風の二人の男と、三十四五歳の丸髷の女が坐っていた。

しばらく、大五郎は女の方を眺めた。

「君が、お上さんかね。え、お上さんかい。」

女はつんと彼方を向いて、何の返事もなかった。誰も黙っている。

大五郎は屋内を見渡して、また椅子に腰を下した。呑み台の向うの女中が、隣席の男に酌をしながら、にやりと笑った。大五郎はつきだしの小魚を一匹つまんで、銚子をあけた。

「お酒がすんだら、帰って下さいね。」

また、女の声がした。

彼女は立上っていた。小紋錦紗のすらりとした姿で、重ね着の淡色の襟を二枚、白縮緬の半襟の上にのぞかせ、臙脂矢羽根の帯締に小さな銀鍵をさげている。