轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

01 第一部上

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 205,629 字 · 408 页

青空文庫

半蔵らの踏んで行く道はもはや幾たびか時雨の通り過ぎたあとだった。気の置けないものばかりの旅で、三人はときどき路傍の草の上に笠を敷いた。小松の影を落としている川の中洲を前にして休んだ。対岸には山が迫って、檜木、椹の直立した森林がその断層を覆うている。とがった三角を並べたように重なり合った木と木の梢の感じも深い。奥筋の方から渦巻き流れて来る木曾川の水は青緑の色に光って、乾いたりぬれたりしている無数の白い花崗石の間におどっていた。

その年は安政の大地震後初めての豊作と言われ、馬籠の峠の上のような土地ですら一部落で百五十俵からの増収があった。木曾も妻籠から先は、それらの自然の恵みを受くべき田畠とてもすくない。中三宿となると、次第に谷の地勢も狭まって、わずかの河岸の傾斜、わずかの崖の上の土地でも、それを耕地にあててある。山のなかに成長して樹木も半分友だちのような三人には、そこの河岸に莢をたれた皀莢の樹がある、ここの崖の上に枝の細い棗の樹があると、指して言うことができた。土地の人たちが路傍に設けた意匠もまたしおらしい。あるところの石垣の上は彼らの花壇であり、あるところの崖の下は二十三夜もしくは馬頭観音なぞの祭壇である。