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よあけまえ
夜明け前
島崎 藤村
04 第二部下
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页
半蔵はそこにいない先輩の前へ復古の道を持って行って考えて見た。彼の旧い学友、中津川の景蔵や香蔵などが寝食も忘れるばかりに競い合って、互いに突き入ったのもその道だ。そこには四つの像がある。彼は自分の心も柔らかく物にも感じやすい年ごろに受けた影響がこんなにも深く自分の半生を支配するかと思って見て、心ひそかに驚くことさえある。彼はまた平田一門の前途についても考えて見た。
その時になって見ると、先師没後の門人が全国で四千人にも達した明治元年あたりを平田派全盛時代の頂上とする。伊那の谷あたりの最も篤胤研究のさかんであった地方では、あの年の平田入門者なるものは一年間百二十人の多くに上ったが、明治三年には十九人にガタ落ちがして、同四年にはわずかに四人の入門者を数える。北には倉沢義髄を出し、南には片桐春一、北原稲雄、原信好を出し、先師遺著『古史伝』三十一巻の上木頒布に、山吹社中発起の条山神社の創設に、ほとんど平田研発者の苗床ともいうべき谷間であった伊那ですらそれだ。これを中央に見ても、正香のいわゆる「政治を高めようとする」祭政一致の理想は、やがて太政官中の神祇官を生み、鉄胤先生を中心にする神祇官はほとんど一代の文教を指導する位置にすらあった。