轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

よあけまえ

夜明け前

島崎 藤村

04 第二部下

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,172 字 · 206 页

青空文庫

遠い村々から松本までは二十里、三十里である。何事を本庁に届けるにもその道を踏まねばならぬ。それだけでも人民疾苦の種である。半蔵らの請書はその事にも言い及んであった。東北戦争以来、すでにそのころは四年の月日を過ぎ、一藩かぎりの制度も改革されて、徳川旧幕府の人たちですら心あるものは皆待ち受けていた新たな郡県の時代が来た。これは山間居住の民にとっても見のがせない機会であったのだ。

もともとこの山林事件は明治初年にはじまった問題でもなく、実は旧領主と人民との間に続いた長い紛争の種で、御停止木のことは木曾谷第一の苦痛であるとされていた。こんなに明治になってまた活き返って来たというのも決して偶然ではない。それは宿村の行き詰まりによることはもちろんであるが、一つには明治もまだその早いころで、あらゆるものに復古の機運が動いていたからであった。当時、深い草叢の中にあるものまでが時節の到来を感じ、よりよい世の中を約束するような新しい政治を待ち受けた。従来の陋習を破って天地の公道に基づくべしと仰せ出された御誓文の深さは、どれほどの希望を多くの民に抱かせたことか。半蔵らが山林に目をつけ、今さらのように豊富な檜木、椹、明檜、高野槇、それから※などの繁茂する森林地帯の深さに驚き、それらのみずみずしい五木がみな享保年代からの御停止木