轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ゆめのさつじん
夢の殺人
浜尾 四郎
「新青年」1929(昭和4)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,670 字 · 26 页
藤次郎の頼みは忽ち裏切られた。要之助がまだ若く、初心でまじめであることがなおいけなかった。生れてはじめて、都会の美人に惚れられた(と少くとも要之助と藤次郎は考えたが)要之助は、まもなく彼女の媚態に陥って、彼の方からも可なり積極的な態度に出はじめて来たのである。
斯うやって藤次郎にとっては、悩みの幾月かが過ぎた。勿論彼はあらゆる手段で美代子の気もちを自分の方にひっぱろうとした。けれどもそれは全然無駄骨だったのである。
けれど彼は自分の心もちと、かつて自分に対してとっていた美代子の態度からおして、まさか彼等が完全に許し合っているとは信じなかった。又信じたくもなかった。然るにこの彼の考えを根柢から動かすようなことが最近に持ち上ったのである。
今から約一週間程前の或る夜半だった。いつもは昼の労働にまったく疲れて――読書は近頃は到底やれるものではなかったが――死人のように熟睡する藤次郎は、其の夜、二時頃に突然の腹痛で眼がさめた。
彼は暫く半眠半醒の状態で床上に苦しんでいたが、はっきり眼がさめるとあわてて厠にとびこんだ。斯ういう場合、誰でも比較的永く厠にいるものである。