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ゆめはよびかわす
夢は呼び交す
蒲原 有明
――黙子覚書――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页
」
「へえ。それは聞きものですね。」景彦はそういって妙な顔つきをして見せる。
「まあ、聞いてからのことだ。それからおれの発明ぶりを讃歎するなり嘲笑するなり、勝手にしろよ。手っ取り早くいえば、おれは酒の代用品を思いついたのだ。どんな思いつきだというのかね。それはもとより簡単だ。直接でもあり純真でもあるようなものはいつでも簡単なのだ。どうも代用品としてはそうなくてはならぬように思われる。余り技巧を凝らさぬところに実用価値があるからな。それはこうだ。番茶を熱く濃く出して、唐辛子を利用して調味すること、ただそれだけの手順で結構刺戟性に富んだ飲物が得られる。この節酒が容易に見当らないからな。自慢だが、この代用品はどうしたものだろう。」
「なんだ。おおかたそんなものかと思っていました。人を馬鹿にしたものですね。あなたはそれで満足ができるのですか。」
「満足どころか、今もいった通り、自慢物なのだよ。」
景彦は口の端を引き歪めて、今にも痛烈な皮肉が飛びだそうとするのを制しているようなもどかしさを感じながら、思わず片目をつぶって、まじまじと鶴見を見ている。
鶴見はひとりで興に乗って語り続けた。