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ゆめはよびかわす

夢は呼び交す

蒲原 有明

――黙子覚書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,126 字 · 210 页

青空文庫

普通の辞書にはあかめがしわに梓字を当てて、版木に使われるとある。上梓とか梓行とかいうのはそれであろうか。そして見ればむこうでいう梓はあかめがしわかとも思われる。牧野さんはまたいう。あかめがしわは上野公園入口の左側の土堤の前に列植してある。きささげは博物館の庭にあると。鴎外はこれに附記して、自分は賢所参集所の東南に一株あったと記憶するといっている。

きささげは『万葉』に出ているひさきのことである。鴎外は『万葉』のひさきには少しも触れていない。鶴見はそのひさきについて書いて置きたいことがある。

『万葉』では楸をひさきと訓ませてある。ひさきというのは、辞書で見ると、久しきに堪える意味からその名を得たという一説を挙げている。そんなわけで、賢所の前庭に植えてあったのであろう。この説にはしばらく疑を存して置いて好い。外来植物としてこの木を数えることが既に明らかな事実である以上、楸字はその木と共にわが国に伝ったものであろう。即ち楸の実物提示であったに違いない。渡来僧か、こちらから行った留学僧かがその称呼をあらわす文字をその実物と共に持って来たものに違いない。そうであれば、唐時代には楸はこちらになかった木で、『万葉』