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だいこのは
大根の葉
壺井 栄
「文芸」改造社、1938(昭和13)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,854 字 · 50 页
ずっこけたズボンを胸までこきあげて、一段一段を念入りにおりて行った。
鬼んなってつらかってえ
大根の葉あがからかってえ
みんなのなぶる声が追っかけてきた。石段をおり、細い小路を横切るとすぐ家の空地であった。右の納屋の前の大きな柿の木の下でおばあさんが豚の飯米をつくっていた。健はそのそばへよって行って、だまってしゃがみこんだ。
大根の葉あがからかってえ
からかう声がまだ聞こえる。おばあさんは菜っ葉をきざむ手を休めずに、一人で帰ってきた健に笑いかけた。
「健、どうしたん。」
健は眉をよせ、上唇をせりあげるようにしてかたく口をつぐんでいた。
「なあ、荒神様で遊んでこい。仰山つれがおろがいや、太郎もおろがいや。」
おばあさんは荒神様の方をふりむいていった。
「ほたって、みんなが大根の葉あがからかって、いうんじゃもん。」
「そうか、そりゃ困ったなあ。大根の葉あがからかったんかいや。」
笑いながらおばあさんは菜っ葉をきざんでしまい、大きな板を柿の木に立てかけておいて流し場の方へ行った。米のとぎ汁や残飯の入っている桶を持ってきてそれを豚桶に移したり、醤油工場からもらってきた大豆の煮汁をそれにまぜ合わせたりした。