轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

中里介山『大菩薩峠5』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 页

青空文庫

頭巾を取って椅子に腰を卸した能登守を見ると、姿も形もだいぶ前とは変っていることがわかります。まずその髪の毛を、当時異国人のするように散髪にして、真中より少し左へよったところで綺麗に分けてありました。それから後ろの襟へかかったところまで長く撫で下ろした髪の末端を、鏝を当てたものかのように軽く捲き上げていました。身につけているのも筒袖の着物と羽織に、太い洋袴を穿いています。

この人としてはこういう形をすることもありそうなことだけれど、その当時にあっては、破天荒なハイカラ姿でありました。この姿をしてうっかり市中を歩いて、例の攘夷党の志士にでも見つかろうものならば、売国奴のように罵られて、その長い刀の血祭りに会うことは眼に見えるようなものであります。幸いなことに、この人はここに引籠っているから、この急進的なハイカラ姿を、何者にも見つからないで済むのでありましょう。

能登守――と言わず、これからは駒井甚三郎と呼ぶ――はいま椅子へ腰を卸すと共に、額に滲む汗を拭いて、ホッと息をついて空しく天井をながめていました。

この室内の模様は、前に甲府の邸内にあった時と、ほぼ同じような書物と、武器と、それから別に、洋式の機械類と薬品などで充満していました。