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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

中里介山『大菩薩峠5』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 页

青空文庫

むつかしいのは皮を剥くそのことでなく、皮を剥くまでの間、生きた犬をどうしてじっとさせて置くかでありました。二人の犬殺しの苦心もまたそこにあって、いろいろに犬を手懐けようとしたのもそれがためでありました。しかし、見込み通り二人の犬殺しに懐くかどうかは、犬を扱い慣れたこの犬殺しどもにもまだ自信がありません。与える食物は取らないけれど、その温順であるらしいことが、いくらかの心恃みにはなっていただけであります。こうして首へ縄をかけて松の枝へつるし、四本の足へも縄をつけて四方へ張っておいて、身動きのできないようにしておいて、それから仕事にかかるというのが順序であって、それはほぼ見当がついているのであります。

神尾の招いた多くの人は、その当日の定刻に続々と詰めかけて来ました。広間の中や縁のあたりに居溢れて、みんなの眼は松の木の下の真黒い動物に注がれています。なかには立って行って、わざわざその動物の委細を検分しているものもありました。

「ありゃ、元の支配の邸にいた犬ではござらぬか」

「うむ」

こう言ってムク犬を評していたものもありましたけれど、元の支配ということだけすらが、この席では禁句でもあるかのように、