轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

中里介山『大菩薩峠5』。同一底本的分册已合并为一书。收入:大菩薩峠、大菩薩峠、大菩薩峠。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 262,120 字 · 516 页

青空文庫

「時に、あの駒井甚三郎は……」

と言う者がありました。

「なるほど、駒井能登守殿、その後は一向お沙汰を聞かぬ」

「左様、駒井氏」

「駒井甚三郎か、なるほどな」

「甲府から帰って以来、さっぱり消息を知らせぬ、あの駒井能登守……」

と言って、一座は駒井能登守の噂になりました。これらの連中は能登守が、何によって躓いたかをよく知らないものと見えます。よし内々は聞くところがあっても、公開の席へは遠慮をしているらしく見えます。

「不思議なこともあればあるもので、拙者この間、意外なところで駒井殿らしい人を見かけ申したよ」

これは道庵先生の隣席にいた、遠藤良助という旗本の隠居でありました。

「遠藤殿には駒井甚三郎を見かけたと申されますか、していずれのところで」

しかるべき大身の隠居らしいのが、遠藤に向って尋ねました。

「実はな、先日、手前は舟をうて芝浦へ投網に参りましてな、その帰り途でござった、浜御殿に近いところで、見慣れぬ西洋型のバッテーラが石川島の方へ波を切って行く、手前の舟がそれと擦り違いざま、なにげなくバッテーラのうちを見ますとな、笠を被って羅紗の筒袖を着て、手に巻尺と分銅のようなものを持って舳先に立っていた人、それがどうも駒井甚三郎殿としか見えないのでござった。