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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「射撃中止!」

と号令をかけて、司令席上のケレンコ委員長は、なにがおかしいのか、からからと笑いつづける。

だが、ケレンコはその笑を、ふととめた。そしてむずかしい顔になった。

「あ、リーロフ。あいつは一体どうしたのだろう。さっきからずいぶんになるが、まだ姿を見せないじゃないか」

自分の片腕とたのむリーロフのことが心配になったのである。

「おい誰か、会議室へ行って、リーロフの様子を見てこい」

ケレンコはどなったが、すぐそのあとで、

「いや、やっぱりわしが行こう。そこにいる衛兵五名も、手のすいている者もみんなついてこい」

といって、ケレンコはすたすたと司令席を下り、出口から出ていった。その後から、十人ばかりの部下がしたがった。

会議室の前には、一人の水兵が銃をかかえてあっちへいったりこっちへきたり、番をしていた。

ケレンコは、番兵にいった。

「おい、リーロフはどうした」

「私は少しも知りません」

番兵は、あわてて捧銃の敬礼をしながら、こたえた。

「ふーむ、おかしいな」

と小首をかしげたが、考えなおして会議室の扉を指さし、

「どうだ、この中の先生は、その後おとなしくしているか」