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たいへいようまじょう
太平洋魔城
海野 十三
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页
「おお、リーロフじゃないか。おいリーロフ、これは一体どうしたんだ」
だがリーロフはくるしそうにうめきながら、床のうえをころげまるばかりだった。それも道理、リーロフは、誰にやられたのか、猿ぐつわをかまされ、そしてうしろ手にしばられ、両足もぐるぐるまきにされている。
「どうしたのか、これは……」
とケレンコがおどろいてもう一度そういった時、室内からもう一人の男がよろめき出た。この男もリーロフ同様、しばられているが、はだか同様の姿だ。見れば、それはイワンという一等水兵だった。
相つづく怪事にさすがのケレンコも目をみはるばかりであった。
「イワン、どうした。太刀川はどこにいるのか。――おい、みんな、早くこの二人の綱をといてやれ」
綱だと思ったのは、電灯の線だった。
大男のリーロフは、猿ぐつわを靴の下にふみにじって、くやしそうに歯がみをした。
「委員長。あの太刀川めに、またやられました。あっという間に、私たち二人は投げとばされ、腰骨をいやというほどぶっつけたと思ったら、あのとおりひっくくられてしまいました。そして彼は、イワンの服をはいで着かえると、この入口から外へでていってしまいました。