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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

ところが三捕は、伏せをするどころか、衛兵の方をみて、げらげらと笑いだしたのである。

衛兵はびっくりして鉄砲をひいた。よく見ると、黄いろい顔をした妙な風体の男が、長いひげをひっぱりながら、こっちをむいてあはははと笑うのである。

三浦は、気が変になったわけではない。例のクイクイの神様に、ちょっと早がわりをしただけのことである。神様になると、妙に気がおちつくのであった。

「待て、ポーリン」

という声とともに、入口に、どやどやと足音がきこえたが、いきなりとびこんできたのは、衛兵長であった。

クイクイの神は、すばやく両手をあげて、降参の意をしめした。

「生き残ったのは、こいつだけか」

と衛兵長は、いって、

「おい、ポーリン。しばっちまえ」

と、命令した。

三浦がしばられている間に、部下の衛兵たちは、ぞくぞくあつまってきた。

「こいつら、一たいどこからまぎれこんだのだろう。それとも、前から、この要塞の中にいたのかな。どうもふしぎだ」

衛兵長は、つぶやいて、

「とにかく司令官のところへ、こいつを引立てよう。さあ、歩け。この長ひげめ!」

三浦は、衛兵長に腰をけられて、いやいやながら歩きだしたが、その時、とつぜん、妙な節まわしで、唄をうたいだした。