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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

「ああ、あそこに水中快速艇がある」

「早く、早く。あともう四分しかない。これでは、安全なところまで、逃げられないかもしれない。たいへんなことになった」

「なあに、ダン艇長。心配は、あとにして、一刻も早くとび出そう」

太刀川は、エンジンをかけた。ハンドルをしっかりにぎつて、アクセルをふめば、水中快速艇は、矢のように走りだした。

「あと、もう二分!」

「もう一キロメートル半、遠のいた」

あと二分のちに、なにごとか起るのであろうか。まず、監禁室にのこしておいた火薬箱が爆破するであろう。

だが、そればかりの爆薬で、あの堅牢無比の海底要塞が、びくともするものではない。それでは……

「もうあと一分だ!」

「三浦、ロロの二人は、うまくやってくれたろうか」

この二人は、カンナ島で、どんなことをやっていたのか。じつは、これこそすばらしい思いつきであったのだ。

それはカンナ島の石油の利用であった。無尽蔵といわれるカンナ島の石油は、大きな油槽にたくわえられ、必要なときに、海底要塞へおくられていた。太刀川はこの話をきいたとき、この石油を、海底要塞に通ずる秘密通路へながしこむことを考えついたのである。