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たいへいようまじょう

太平洋魔城

海野 十三

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1939(昭和14)年1月~12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 93,147 字 · 187 页

青空文庫

カタキヲタノム。ノチノショウコニ、ワガ足ノ傷グチカラ、破片ヲヌキダシ、コノ缶ニイレテオク。第九平磯丸、三浦スミ吉、コレヲシルス”

なんというおどろくべき遭難報告であろう。だが、ここに書いてあることが、にわかに信じられるだろうか。大海魔があらわれ、首を五十メートルももたげ、波のうえにのびた身長が四百メートルもあったなどとは、本当のことだと信じられるだろうか。これでは、まるで昔のお伽噺に出てくるような大海蛇そっくりである。この科学のさかんな世に、誰がそんなばかばかしい海魔を信ずることができるだろうか。新しい海の学問をおさめた太刀川時夫には、ほらばなしとしかうけとれなかった。

「これはいたずらずきの者が書いた人さわがせの手紙ではないのでしょうか」

太刀川は、思っているままを、原大佐にいった。大佐は、首をかるく左右にふって、

「ところが、そうも考えられないのだ。第一それを書いた第九平磯丸という船は、たしかに船籍簿にのっているし、船の持主のところへいって調べると、たしかに漁にでているとのことだった。また三浦須美吉という漁夫もたしかに乗りこんでいったそうで、このへんのことは、実際とよくあうのだ。