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こうじんぶつ
好人物
佐々木 邦
「婦人画報」1925(大正14)年5月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,609 字 · 107 页
と八千代さんは公正な判定をした。
「八千代さんは叔母さん贔屓ですね。二人に一人じゃ敵わない。降参します。安子や、小川さんは病院だから訊かなくても分っているけれど、ポチは何処だい?」
「オホヽ、然う分りよく仰有って下さるなら、お大切のお子さん達のことですから私が御案内申上げましょう」
と細君は良人を伴って台所へ行った。ポチは台所の揚げ板の下で生んだのである。
「可愛いわね。一匹だけは私がもうお友達にお約束してあるのよ」
と八千代さんも覗き込みながら言う。
「それは有難い。私の方には未だ心当りがありませんから、成るべく広く勧誘して下さい。ミルク代の二月や三月は持参金に背負わせてやります」
「あら、そんなに手を出すと食いつかれますよ。でも随分産むものね」
と細君は感心している。
「矢っ張り野犬だったね。文化犬じゃない」
と千吉君は尚おポチの頭を撫でながら、
「しかし皆器量好しだよ。確かに七匹かね? 親の腹へもぐってしまって何うも勘定が出来ない」
犬の子の検分が済んで茶の間へ戻ると、細君は、
「あなた、洋服でお出になる? 和服?」
と訊いた。仲の好い夫婦だから、時に我儘はあっても、覚えずこんな甘ったるい口調になる。