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つまのざ

妻の座

壺井 栄

「新日本文学」1947(昭和22)年8月、1949(昭和24)年2月~4月、7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 82,695 字 · 165 页

青空文庫

悠吉は終始だまっていたが、電車にのるとほっとしたような顔で自分たちの文学団体について話し出した。野村が見つけ出した若い職場出身の作家の最近評判になった小説について、若い評論家たちの近ごろの鼻いきの荒さについて、創作コンクールに集ってきた小説や詩について。その言葉を風のように聞きながら、ミネの心の目はじっと閑子たちの上に注がれていた。何てかわいそうな二人だろう。甲斐性がなさすぎるではないか。二人とも小気な人間なのだ。しかも結局は女の側にだけ最後の重石がかかってくるのだ。こんな場合、解き放たれて息をつけるのは男だけで、女の方は予想もしない負目をおわされるのだ。その重石に圧されて自分を小さくして生きてきたのが日本の女の歴史である。そういうものをも払いのけて道を開くために同じ思想で手をにぎり合っている野村やミネたちでありながら、うかつにも一人の女をやはりそこへおいこんでしまうことになりそうだ。せめて傷つけあうことでもさけたいが、そんなわけにゆくだろうか。野村は泣いている。閑子はたかぶっている。そしてミネたちはただ困惑の形を次第に大きくしている。貞子はためいきをつき、じっと等分に見守っている。