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めいご
姪子
伊藤 左千夫
「アララギ」1909(明治42)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,570 字 · 12 页
のが好きさ、どこの家でも前の往来を綺麗に掃いて、掃木目の新しい庭へ縁台を出し、隣同志話しながら煙草など吹かしてる、おいらのような百姓と変らない手足をしている男等までが、詞つかいなんかが、どことなし品がえい、おれはそれを真似ようとは思わないけど、横芝や松尾やあんな町がかった所へいくと、住居の様子や男女の風俗などに気をつけて見るのが好きだ。
兼鍛冶のとこへ往ったら、此節は忙しいものと見えて、兼公はもう鞴場に這入って、こうこうと鞴の音をさして居た、見ると兼公の家も気持がよかった、軒の下は今掃いた許りに塵一つ見えない、家は柱も敷居も怪しくかしげては居るけれど、表手も裏も障子を明放して、畳の上を風が滑ってるように涼しい、表手の往来から、裏庭の茄子や南瓜の花も見え、鶏頭鳳仙花天竺牡丹の花などが背高く咲いてるのが見える、それで兼公は平生花を作ることを自慢するでもなく、花が好きだなどと人に話し為たこともない、よくこんなにいつも花を絶やさずに作ってますねと云うと、あアに家さ作って置かねいと時折仏様さ上げるのん困るからと云ってる、あとから直ぐこういう鎌が出来ましたが一つ見ておくん