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おんなけいず

婦系図

泉 鏡花

「やまと新聞」1907(明治40)年1~4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 172,760 字 · 343 页

青空文庫

」

と下流へかけて板の間へ、主税は腰を掛け込んで、

「ところで、ちと申かねるが、今の河野の一件だ。」

「何です、旦、」

と吃驚するほど真顔。

「お前さんや、奥様で、私に言い憎いって事はありゃしねえ、また私が承って困るって事もねえじゃねえか。

嚊々を貸せとも言いなさりゃしめえ、早い話が。何また御使い道がありゃ御用立て申します。」

「打附けた話がこうだ。南町はちと君には遠廻りの処を、是非廻って貰いたいと云うもんだから、家内で口を利いて行くようになったんだから、ここがちと言い憎いのだが、今云った、それ、膚合の合わない処だ。

今来た、あの母親も、何のかのって云っているからな、もう彼家へは行かない方が可いぜ。心持を悪くしてくれちゃ困るよ。また何だ、その内に一杯奢るから。」

とまめやかに言う。

八

皆まで聞かず、め組は力んで、

「誰が、誰があんな許へ、私ア今も、だからそう云ってたんで、頼まれたッて行きゃしねえ。」

「ところが、また何か気が変って、三枚並で駈附けるなぞと云うからよ。」

「そりゃ、何でさ、ええ、ちょいとその気になりゃなッたがね、商いになんか行くもんか。