轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まごしちとずんど
孫七とずんど
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館 、1943(昭和18)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,189 字 · 30 页
「それにしてもさ」孫七郎はうんとうなずいたあとからしかしいかにも具合が悪そうに云った、「この箙へわざわざ桜まで※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)して、なるべく眼につくようにくふうをしたのだぜ、ところが誰もみつけて呉れないんだ、……いったいどうして敵はおれをあんなに嫌ったのかね、いちどなぞはおれが『やあやあ』とどなったら敵兵のひとりがこちらを見た、こういう眼つきで……」かれはそういう眼つきをしてみせた、「こういう眼でこっちを見た、しめたと思った、この機をのがしてはならんと思ってもういちど『やあやあ』と叫んだ、するとその敵兵が『なんだ』とどなり返した、なんだと……とこれには言句に詰まった」
「またどうして言句に詰まるんだ」
「どうしてだって」孫七は憮然とした、「どうしてって、べつに用があるわけじゃないじゃないか、なんだと云われたって『これこれだから』とか『実はこれこれの事で』とか、そういう場合じゃないじゃないか」
「それはたぶん、なんだろう」寸度は面倒くさくなって遮った、「きっとその相手が孫七と伴れになるなということを知っていたんだろう」