轻松读懂日语经典作品
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さむはし
寒橋
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,416 字 · 36 页
四
――みんなあんたのせいよ。
お孝としてはこう云うよりほかに立つ瀬がなかったのである。
四
伊兵衛は九月の下旬にとこばらいをした。
そのちょっと前のことであるが、或る夜ふっと眼がさめると、いつも点いている有明行燈が消えていた。油でもきれたのかと思って、そのまま眠ろうとしたが、どうしてか眼が冴えてしまって眠れない。暫くしてそっと起き、音を立てないように気をつけて手洗いにゆこうとした。……すると廊下の向うですっと襖の明く音がし、ひと言、低く誰かの囁く声が聞えた。父がおたみになにか云ったのだろうと思い、廊下へ出ると、足音がこっちへ来た。高いれんじ窓はあるが夜中のことで、まっ暗でわからない。お孝は用心して、
「――だあれ、おたみかえ」
と声をかけた。ぶっつかってはいけないと思ったからだ。すると向うは気がつかなかったとみえ、よほどびっくりしたようすで、
「――私だ、……どうしたんだ」
へんにうわずった声で時三が答えた。
「あんたなの、暗くってわからなかったわ」
「――どうしたんだ、そんなところで、……なにをしているんだ」
「ばかねえ、こんな時刻になにをするわけがないじゃないの」