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からすうりのはなとが
寺田寅彦随筆集 第三巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第三巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:からすうりの花と蛾、火山の名について、日常身辺の物理的諸問題、量的と質的と統計的と、物理学圏外の物理的現象、ロプ・ノールその他、青衣童女像、カメラをさげて、連句雑俎、ラジオ・モンタージュ、青磁のモンタージュ、読書の今昔、映画の世界像、「手首」の問題、映画雑感(Ⅰ)、生ける人形、映画芸術、音楽的映画としての「ラヴ・ミ・トゥナイト」、俳諧の本質的概論、夏目漱石先生の追憶、田丸先生の追憶。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 213,804 字 · 425 页
いずれにしても無批判的な多読が人間の頭を空虚にするのは周知の事実である。書物のなかったあるいは少なかった時代の人間のほうがはるかに利口であったような気もするが、これは疑問として保留するとして、書物の珍しかった時代の人間が書物によって得られた幸福の分量なり強度なりが現代のわれわれのそれよりも多大であったことは確かであろう。蘭学の先駆者たちがたった一語の意味を判読し発見するまでに費やした辛苦とそれを発見したときの愉悦とは今から見れば滑稽にも見えるであろうが、また一面には実にうらやましい三昧の境地でもあった。それに比べて、求める心のないうちから嘴を引き明けて英語、ドイツ語と咽喉仏を押し倒すように詰め込まれる今の学童は実にしあわせなものであり、また考えようではみじめなものでもある。
子供の時分にやっとの思いで手にすることのできた雑誌は「日本の少年」であった。毎月一回これが東京から郵送されて田舎に着くころになると、郵便屋の声を聞くたびに玄関へ飛び出して行ったものである。甥の家では「文庫」と「少国民」をとっていたのでこれで当時の少青年雑誌は全部見られたようなものである。