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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
寺田寅彦『寺田寅彦随筆集 第五巻』。同一底本的分册已合并为一书。收入:あひると猿、疑問と空想、映画と生理、映画雑感(Ⅲ)、映画雑感(Ⅳ)、災難雑考、三斜晶系、糸車、詩と官能、自由画稿、小浅間、小爆発二件、地図をながめて、天災と国防、日本人の自然観、破片、俳句の型式とその進化、俳句の精神、物売りの声、B教授の死。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 194,515 字 · 389 页
が現出する。日本における植物界の多様性はまたその包蔵する動物界の豊富の可能性を指示するかと思われる。
試みに反対の極端の例をあげてみると、あの厖大な南極大陸の上にすむ「陸棲動物」の中で最大なるものは何か、という人困らせの疑問に対する正しい解答は「それは羽のない一種の蚊である」というのである。こんな国土もあることを考えると、われわれは蚊もいるが馬も牛もおり、しかも虎や獅子のいない日本に生まれたことの幸福を充分に自覚してもいいのである。
今私は浅間山のふもとの客舎で、この原稿を書きながらうぐいすやカッコウやホトトギスやいろいろのうたい鳥の声に親しんでいる。きじらしい声も聞いた。クイナらしい叩音もしばしば半夜の夢に入った。これらの鳥の鳴き声は季節の象徴として昔から和歌や俳句にも詠ぜられている。また、日本はその地理的の位置から自然にいろいろな渡り鳥の通路になっているので、これもこの国の季節的景観の多様性に寄与するところがはなはだ多い。雁やつばめの去来は昔の農夫には一種の暦の役目をもつとめたものであろう。
野獣の種類はそれほど豊富ではないような気がする。これは日本が大陸と海で切り離されているせいではないかと思われる。