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こざくらひめものがたり

小桜姫物語

浅野 和三郎

03 小桜姫物語

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 136,097 字 · 267 页

青空文庫

』とそれはそれは鄭重な御挨拶でございました。

竜神様のお祠から自分の修行場へ戻って見ると、もう指導役のお爺さんが、そこでお待ちになって居られました。

『準備ができたらすぐに出掛けると致そう。俺が竜宮の入口まで送ってあげる。それから先きは汝一人で行くのじゃ。何も修行の為めである。あまり俺に依る気になっては面白うない……。』

そう言われた時に、私は何やら少し心細く感じましたが、それでもすぐに気を取り直して旅仕度を整えました。私のその時の旅姿でございますか……。それは現世の旅姿そのまま、言わばその写しでございます。かねて竜宮界は世にも奇麗な、華美なところと伺って居りますので、私もそのつもりになり、白衣の上に、私の生前一番好きな色模様の衣裳を重ねました。それは綿の入った、裾の厚いものでございますので、道中は腰の所で紐で結えるのでございます。それからもう一つ道中姿に無くてはならないのが被衣……私は生前の好みで、白の被衣をつけることにしました。履物は厚い草履でございます。

お爺さんは私の姿を見て、にこにこしながら『なかなか念の入った道中姿じゃナ。乙姫様もこれを御覧なされたらさぞお歓びになられるであろう。