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こいずみやくもひこうがほん「ようましわ」

小泉八雲秘稿画本「妖魔詩話」

寺田 寅彦

「帝国大学新聞」1934(昭和9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,659 字 · 6 页

青空文庫

表紙は八雲氏が愛用していた蒲団地から取ったものだそうで、紺地に白く石燈籠と萩と飛雁の絵を飛白染めで散らした中に、大形の井の字がすりが白くきわ立って織り出されている。

これもいかにも八雲氏の熱愛した固有日本の夢を象徴するもののように見えておもしろい。このような蒲団地は、今日ではもうたぶんデパートはもちろんどこの呉服屋にも見つからないであろう。それをわざわざ調製したのだそうである。小山書店主人のなみなみならぬ熱心な努力が、これらの装幀にも現われているようである。この異彩ある珍書は著者、解説者、装幀意匠者、製紙工、染織工、印刷工、製本工の共同制作によってできあがった一つの総合芸術品としても愛書家の秘蔵に値するものであろう。ただ英文活字に若干遺憾の点があるが、これもある意味ではこうした限定版の歴史的な目印になってかえっておもしろいかもしれないのである。

複製原稿で最もおもしろいと思うのは、詩稿のわきに描き添えられたいろいろの化け物のスケッチであろう。それが実にうまい絵である。そうして、それはやはり日本の化け物のようでもあるが、その中のあるものたとえば「古椿」