轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょうせつのタネ

小説のタネ

吉川 英治

「文藝春秋」1957(昭和32)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,376 字 · 23 页

青空文庫

けれど、社から伝言の人が来たとき、僕は驚いて、たしか断ったと思いますよ。

『とても、そんな大新聞に。自分なんかには、大任過ぎる』

と、真正直にかしこまって断ったもんですよ。

夏でしたがね、ちょうど、日頃よく僕のうちへ遊びに来る木彫家の伊上凡骨が、隣りの部屋で、昼寝していたんです。そいつが、あとでむっくり起きてきて、

『断るやつがあるもんか、絶好のチャンスだよ、書けよ、書けよ』

と唾を飛ばしてさかんにケシかけてくれたのを覚えています。それで、とにかく、おっかなびっくり始めたのが、あの「鳴門秘帖」の書き出しですよ。

吉井勇氏におあいすると、よく凡骨のはなしをしますが、あれは珍重すべき畸人でしたね。長谷川如是閑さんがよくいう職人の伝統をもっていた男でもあったし、とにかく変っていて、僕の上落合の家へ遊びに来ても、喘息が持病なので、どうかすると、十日も半月もゴホンゴホンやりながら泊っている。そして、無類のぜいたくで、朝寝坊と来ているから、起きると、手を叩いてうちの女中へ『ねえさん、今朝は納豆がいい』とか、朝から、何を買ってこいとか、言っている。だから台所へくる御用聞きなどが、凡骨がいないと、