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しょうせつのタネ

小説のタネ

吉川 英治

「文藝春秋」1957(昭和32)年11月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,376 字 · 23 页

青空文庫

あの後を書けという人、また書かない方がいいという声、ふたいろですね。また「新・平家」なども、ひと時代の大曼陀羅ですから、続けようと思えばまだ幾らでも書けはするが。さあ。どうでしょうか。そうなるのも。

いってみれば、平家にしろ、なんにしろ、歴史の一つの転換期に、歴史家が清算して、大坂落城の次ページは、すぐ徳川幕府初期時代に入っちゃう。そう清算しなくちゃあ、歴史としては、まとまりがつかんですね。けれど、文芸として観れば、人間の興亡は、時の現象ですから、生き永らえようとする本能はあくまで生きつづいていると見えて来ます。そして生きている限りの生命は必ず次代にも何かの影響と結縁がなくてはいない。つまり歴史に切断はないんです。だから作家の眼で見れば、何々時代なんて区切りは無いんですよ。あくまで歴史は一本の大河ですよ。(談話筆記)