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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
家庭内に争議を起す婦人は災なる哉。……どうか皆様は一日も早く健全な家庭を持たれて、潔白な、正直なお子さんを大勢育て上げられて、来たるべき日本国を出来るだけ清らかに、朗らかに、正しく、強くされん事を、私は衷心から希望して止まないのであります。
……私はこの希望一つのために、生涯を棄ててこの事業に携わっておる者であります。……繰り返して申します。皆様は私の心の子供であります。この子供たちをかような尊い戦いのために、今日只今から社会に送り出す私の心持……お別れに臨んで……」
校長先生のお話がここまで参りました時に、満場から湧き起った拍手のたまらない渦巻き……それから暫くの間続いたススリ泣きと溜息……。
それから卒業式の時と同様に唄い出されました、涙ぐましい「螢の光」……。
ああ。何と言う感激にみちみちた光景でありましたろう。何という神々しい校長先生のお姿でありましたろう。
その謝恩会がすみますと直ぐに私は、帰り道の途中に在る殿宮視学官様のお宅をお訪ねしました。そうして学校一の美人で、学校一の優等生と呼ばれてお出でになる殿宮アイ子様にお眼にかかりまして、大切な秘密のお話がありますからと申しまして、二人きりで応接間に閉じこもりました。