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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
獣とも人間ともわからない姿と声で躍ったり、跳ねたり、転がりまわり、匐いまわり、笑いまわり、泣きまわってお出でになりました。
私は暫くの間、茫然とそんな光景を見恍れておりました。
「現代の文明は男性のための文明」と仰言った校長先生の演説のお言葉を思い出しながら、こうした妖怪じみた人間と美人たちの乱舞を生まれて初めて眼の前に見て、気が遠くなるほど呆れ返っておりましたが、やがて吾に帰りました私は、屋根の端に身を逆様にしながら、落ち着いてコダックの焦点を合わせました。そうして、わざと蝋マッチを一本パチンと擦ったアトで、皆様がこちらをお向きになった瞬間を見澄まして、発光器を燃やしましたが、強い、青白い光線はズッと向うの広間の向う側までも達したように思いました。
私が発光器を眼の下の深い木立の中へ投げ棄てますと、長椅子の上で遊び戯れておりました婦人たちの中にはキャア――ッと叫んで着物を着ようとした人もおったようでした。
「何だったろう、今のは……」
「恐ろしく光ったじゃないか」
「パチパチと言ったようだぜ」
「星が飛んだんだろう」
「馬鹿な。今夜は曇っているじゃないか」