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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
「ホントに意地の悪い。きょうに限って風邪をお引きになるなんて……妾、電話で奥さんに文句言っときますわ」
「余計な事を言うなよ。それよりも、今から妾がお勧めして臼杵先生をお見舞いに差し出そうかと思いますけど、友喰いになる虞がありますから、失礼させますって、そう言っとき給え」
「ホホホホ。またあんな事。それこそ余計な事ですわ」
「ナアニ。そんな風に言うのが新式のユーモア社交術って言うんだ。奥さんにも宜しくってね」
こんな訳で白鷹先生に非ざる白鷹先生に対する私の家族の感じは、姫草ユリ子を仲介として日に増し親密の度を加えて来た。のみならず、ちょうど私が箱根のアシノコ・ホテルに外人を診察に行く約束をした日の早朝に白鷹氏……否、白鷹先生ならぬ白鷹先生から電話がかかって、
「この間はすまなかった。いつも間が悪くて君に会う機会がない。きょうは歌舞伎座の切符が二枚手に入ったから一緒に見に行かないか。午後一時の開場だから十時頃の電車で銀座あたりへ来てくれるといい。君の知っているカフェーかレストランがあるだろう」
という話だったが、生憎、私が行けないと姫草が言ったとかで、あとから歌舞伎座の番組と一緒に妻と子供へと言って風月のカステラを送って来たりした。