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しょうじょじごく

少女地獄

夢野 久作

「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页

青空文庫

さようなら。

白鷹先生 臼杵先生

可哀そうなユリ子は死んで行きます。

どうぞ御安心下さいませ。

昭和八年十二月三日姫草ユリ子 」

この手紙はすでに田宮特高課長に渡しました実物の写しで、貴下にお眼にかけたいためにコピーを取って置いたものですが、これを初めて読みました時も私は、何の感じも受けずにいる事が出来ました。依然として呆れ返ったトボケた顔で、相手の鋭い視線を平気で見返しながら問いかけました。

「ヘエ。貴方がこの手紙の曼陀羅先生で……」

「そうです」

相手は初めて口を開きました。シャガレた、底強い声でした。

「モウ死骸は片付けられましたか」

「火葬にして遺骨を保管しておりますが……死後三日目ですから」

「姫草が頼んだ通りの手続きにしてですか」

「さようです」

「何で自殺したんですか」

「モルフィンの皮下注射で死んでおりました。何処で手に入れたものか知りませんが……」

ここで相手は探るように私の顔を見ましたが、私は依然として無表情な強直を続けておりました。

曼陀羅院長の眼の光が柔らぎました。こころもち歪んだ唇が軽く動き出しました。

「先月……十一月の二十一日の事です。