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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
姫草さんはかなり重い子宮内膜炎で私のところへ入院しましたが、そのうちに外で感染して来たらしいジフテリをやりましてね。それがヤット治癒りかけたと思いますと……」
「耳鼻科医に診せられたのですか」
「いや。ジフテリ程度の注射なら耳鼻科医でなくとも院内で遣っております」
「成る程……」
「それがヤット治癒りかけたと思いますと、今月の三日の晩、十二時の最後の検温後に、自分でモヒを注射したらしいのです。四日の……さよう……一昨々日の朝はシーツの中で冷たくなっているのを看護婦が発見したのですが……」
「付添人も何もいなかったのですか」
「本人が要らないと申しましたので……」
「いかにも……」
「キチンと綺麗にお化粧をして、頬紅や口紅をさしておりましたので、強直屍体とは思われないくらいでしたが……生きている時のように微笑を含んでおりましてね。実に無残な気持がしましたよ。この遺書は枕の下にあったのですが……」
「検屍はお受けになりましたか」
「いいえ」
「どうしてですか。医師法違反になりはしませんか」
相手は静かに私の瞳を凝視した。いかにも悪党らしい冷やかな笑い方をした。
「検屍を受けたらこのお手紙の内容が表沙汰になる虞がありますからね。