轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
「毎日新聞」毎日新聞社、1949(昭和24)年11月16日~1950(昭和25)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 页
そしてとう/\寝床のところへ引返して来たが、脱ぎ捨てゝある自分の装束を直ぐには取って着ようともせず、愚かなことであると知りながら、女の衣と枕とが置いてあるのを抱いてみたり、撫でゝみたりして、やがてその枕に我が顔を載せ、その衣を我が身に纏うて、長い間打ち伏していた。………まゝよ、夜が明けたって構うものか、いつ迄もこうしていてやれ、人に見られたら見られた時のことだ。………こうして強情に頑張っていてやったら、かの人も我を折って戻って来ずにはいないであろう。………そんなことを思い/\、女の匂がまだこまやかに立ち籠めている暗がりの中に佗びしい雨の音を聞きながら、彼は夜もすがらまんじりともせずにいたが、次第に明け方が近くなって来、彼方此方でガヤ/\人声がし始めると、矢張きまりが悪くなってコソ/\逃げ出してしまったのであった。
こんなことがあってから、平中の侍従の君に寄せる思いはいよ/\真剣になったのであった。それ迄は幾分遊戯気分で追い廻していたものが、それからは傍目もふらずに恋いこがれて、是非とも望みを叶えずには措けないようになった。そう云う意慾に燃えることは、見す/\かの人のしかけた罠に陥ることであったけれども、一歩々々思う壺へ誘い込まれて行きつゝどうにも制しようのない気持であった。