轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

「毎日新聞」毎日新聞社、1949(昭和24)年11月16日~1950(昭和25)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 83,234 字 · 160 页

青空文庫

と違うところは、今朝は自分がひとりぼっちで寝ているのであった。彼も世間の老人なみに早くから眼が覚める方なので、夜明け方の鶏の鳴く音を聞きながら、まだすや/\と眠っている妻の顔を、ちょうど今朝ぐらいのうすら明りの中で打ち眺めるのが常なのであるが、今朝はその顔のあるべきところに、主のない枕が空しく置いてあるばかり。いや、それより何より、いつもはしっかり北の方に纏わり着き、隙間もなく手足を絡み着かせて、二つの体が一つ塊のようになって寝ているのに、今朝は襟頸や腋の下や方々に隙間が出来、そこをすう/\した風が通り抜けるので、これではいかさま肌寒いのも道理であった。………

今朝に限ってあの人が此処に、自分の腕の中に抱かれていないのはどう云う訳か。あの人は何処へ行ったのか。―――国経はそう考えると、何か奇怪な幻影のようなものが頭の隅にこびりついていて、それが少しずつ髣髴とよみがえって来、朝の光が次第に明るさを増すのにつれて、その幻影もいよ/\あざやかな輪郭を取って浮かび上って来るのを覚えた。彼は何とかしてその幻影を、酔餘の揚句に見た一場の悪夢である、と云う風に思い做そうとしてみたが、昨日の夕方からの出来事の記憶を、一つ/\気を落ち着けてじっくりと呼び返しつゝ吟味してみると、どうやらそれは夢ではなくて事実であるらしいこと