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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
態度が段々冷淡になってきたこと、――そういう細々とした怨言が巧みな草書によって書き綴られていた。しかし、その手紙はわたしの心に何の感動も起させなかった。兄は毎月きちんきちんと学資を送ってくれていたし、それから、――いやそれ以外に何を彼に期待することがあろう。――
わたしは母に対して返事を出さなかった。その手紙を母が読む前に兄が開封するかも知れないというおそれが、その為に母の立場を一層苦しくするだろうという疑いを喚び起したから。
しかし、一ト月たって――わたしは冬の休暇を前にしていた――母から来た第二の手紙は家の中に生じた一つの変化、それはわたしにとって決して意外な出来事ではなかったが、しかしそのためにわたしと兄との関係を一層稀薄なものにしてしまうであろうところの一つの変化を報じていた。
兄は一人の芸妓を彼の妻として迎えてしまったのだ。母の手紙はそのことについての唯簡単な報告に過ぎなかったが、彼女が怨みがましい繰言をならべていないだけに、わたしは家庭の中に生じた唐突な変化が、母の心をへんに歪めてしまっていることを感じた。わたしは新しく彼女を姉さんと呼ばなければならない一人の若い女性を想像した。