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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
そんなことから、みんなすっかり気をよくしていると、十時頃になって、アメリカの監視将校が二人の兵隊といっしょにやってきて、収容所内の各室から、テントを一つ一つ巡廻して、ラジオセットから、僅かに残っている刃物類、懐中電灯、写真機なぞを残らず押収していった。もうこれでラジオも聞けなくなり、外界との連絡は完全に途絶えたのである。今は、辛うじて正午に豚肉が喰べられるという希望が残されているだけだ。みんなほかのことを考える気力がないので時計を見ては生唾液を呑んでいると突然空襲警報が鳴りだした。炊事場にいたものもみんなとびだして廊下へあつまった。十二時がすぎても警報は、少しずつ間をおいては鳴りつづけている。
十二時四十分、――ニコルス飛行場とマッキンレー要塞の双方で猛烈な連続爆撃の轟音が絶え間なしにひびいてきた。つづいて高射砲の盲目撃ちがはじまった。門外は騒然と湧き立ち、庭に立っている十数名の監視兵たちは必死の面持ちで銃口を収容所の方へ向けて、身動き一つするものがあったらすぐさまぶっ放すぞという態勢を示しはじめた。
どろんと曇った雨あがりの空を、編隊十七機が悠々とニコルスの方角へ飛んでゆく。