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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
叛骨・中野正剛
対蹠的な好敵手
年譜によると、中野正剛が、衆議院議員に初当選したのは大正九年五月だった。議会における処女演説が、新人政治家としての彼の存在に鮮烈な印象をあたえたのは、同じ年の七月に召集された第四十三特別議会である。
このとき、中野と時を同うして初当選し、同じ議会で処女演説を行ったのが彼と同門の早稲田出身である永井柳太郎であったことが、両者の後輩である私の心に深い感銘を残している。
このとき、永井は四十歳、中野は三十五歳であるから、年齢には相当の開きがあったとはいえ、両者ともに一般民衆の心に青春の象徴というかんじをあたえたことだけは確かである。
永井柳太郎に私淑して少年の一時期を過した私は、中学時代から、偶然の機縁で相識の間柄であったが、この両者に対する魅力は、過ぐる年、入幕当時の好敵手、柏戸、大鵬という表現が、もっとも適当しているようである。
対蹠的な好敵手
大正九年であるから、私は二十三歳で、学籍はまだ早稲田大学に置いていた。
時の内閣総理大臣は原敬であるから、もちろん政友会内閣であるが、この二人を迎えた議会が急に明るい輝きを加えたことは、ひとり私だけの感慨ではない。