轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
尾崎士郎『尾崎士郎短篇集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:秋風と母、運命について、河鹿、菎蒻、三等郵便局、十三夜、鶺鴒の巣、滝について、叛骨・中野正剛、蜜柑の皮。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 108,032 字 · 216 页
彼のはなしによると日暮れがたであったが「近衛師団長」の機智で山王台の上から帰営ラッパを吹き鳴らすと急に隊を組んでいた兵卒のむれが一角からくずれるようにうごきだしたというのである。
「それで、どうしたんだい、将校たちは?」
「ハッキリしたことはまだわからんがね、代表者の野村大尉が悲壮な訣別演説をしたそうだ、――それからみんな一斉に自決したという説もあるんだがどうもこいつは怪しいね、生き残ったとしたら何だか少し寂しいよ、死刑になることはわかりきっているんだし」
「あんなときにはやっぱりひと思いに死ねないものかね?」
「そりゃあ――」
と、内狩はだんだん冷静な表情になって、
「覚悟はしているだろうが、いざとなると万一という気もちも出てくるにちがいないからな」
悲劇はむしろそこにある――と、伍一は思わず心の中で呟いた。感激のクライマックスをとおりすぎた人間の冷やかな眼にうつる末路の現実が彼の頭に救われようのない惨忍なものをかんじさせるのである。人間が生命がけでやる仕事には必ず一時に魂の燃えつくすような幻影が伴うものだ。生きていることの意味は結局この幻影の中に存在をたしかめるときにだけあるのではあるまいか。