轻松读懂日语经典作品
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やまだちもんどう
山だち問答
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1946(昭和21)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,163 字 · 32 页
玄一郎には、彼女がどのようにして父親を説き伏せたか見えるようだった。そしてそういう決心をさせた原因は玄一郎に対する同情もあろうが、根本的には自分が救われたかったのだ、世評のためになみ外れた者になってしまった自分を、同じ境遇にある玄一郎の許で、彼といっしょに生き直したかったのだ。それはこの家へ来てから百日あまりの生活でよくわかる、柔かいしとやかな立ち居、つつましい言葉つきや表情、侍女ということが不自然でない控えめなしずかな態度、……小雪は玄一郎の心の支えになろうと思いながら、実はこうして自分がむすめらしく生きはじめたのである、然もそれがどんなに彼女に似つかわしかったことだろう。
「よくわかりました」玄一郎はやがてそう頷ずいた、「……そこまで案じて頂いたことは忝けないと思います然し、あなたが老職の御息女とわかった以上は、このまま此処にいて頂くわけにはまいらない」
「お待ち下さいまし」
「いやいけません、どんな事情があるにせよこのままいて頂くことは」
そう云いかけて玄一郎はふり返った。誰か門を明けてとび込んで来た者がある、「郡うじ、郡うじはいないか」と叫びながら、すぐにこっちへ走って来た。