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やまのかみさつじん

山の神殺人

坂口 安吾

「講談倶楽部 第五巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,014 字 · 21 页

青空文庫

不二男がお加久の信者になったときいて、こいつはシメタと考えた。

平作は新興宗教なぞに特に関心はもたないから、教祖だの行者なぞというものを、ただの人間、むしろウジムシと考えている。易者はお客を妄者とよぶそうだが、その易者も自身の未来が占えずシガない暮しを立てているとこは、妄者以下、ウジムシじゃないか。ウジムシの神通力なぞバカバカしくて考えることもできない。

けれども世間にはウジムシ以下のバカが存在することも確かで、たとえばウジムシの信者になるバカがいる。こういうバカに対して、ウジムシが一応の神通力があるのも確かである。

「信者は教祖の意のままになるものだ。お加久に鼻グスリをかがせ、不二男を思うようにあやつらせて、できることなら一思いに……」

甚兵衛は自分たちも手を下したからロケンしたが、万事神サマの神通力にまかせてしまえばロケンする筈がないと考えた。

こう考えてお加久をわが家へ招く気持になったのであるが、不二男の信心が警察をあざむく手段で、帰宅の途中まんまと平作もだしぬかれてズラかられてしまったから、平作は怒り心頭に発してお加久を咒ったのである。

けれども、また平作の心が変った。