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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

丁度そのときはぼくも店の人達と話をしていたところなのであったが、沖縄出身のぼくにとっては、「沖縄」というのがいささか刺激的に聞えたのである。おそらく明治生れの沖縄人一般にそれは共通する筈の刺激なのであった。徳田球一はかれの思想の動機を問われると、「俺は被圧迫民族だから」と答えたとか人づてにぼくは聞いたことがあったが、そのことは沖縄の歴史がすでに証明していて、言わばこの被圧迫民族としての劣等感を刺激されたのであった。

ぼくはかつて(大正十二年)、関西のある工場の見習工募集の門前広告に「但し朝鮮人と琉球人はお断り」とあるのを発見した。その工場にとってそれだけの理由はあるのであったろうが、それにしても気持ちのいいものではなかった。またある人は、かれの文章のなかで、ぼくの詩を讃えるの余り、「かれが琉球人であるからではない」と付加えていたが、その言葉の裏には明らかに琉球人を特種的な眼で見ていることを感じないわけにはいかなかった。それでぼくにとっては、出張から帰って来たその男が、どのような眼で沖縄を見ているかに関心を寄せないではいられなかったが、酋長の家に招待されて、大きな丼で泡盛を飲んだんだだの、土人がどうのこうのという調子なのである。