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さざんか

山茶花

佐左木 俊郎

「文章倶楽部」1927(昭和2)年7月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,001 字 · 10 页

青空文庫

と操三郎は、横から、少し渋味のある声で饒舌りたてた。

長作等には、実際、稲扱き機械は強い誘惑を持たずにはいなかった。一台の機械に、二人の人間がついていれば、五人分の仕事は楽に出来る。誰にだって使える機械だし、それに、米も別段いたまないし、減りもしない。その上、仕事のあがりが大変に綺麗に行く。――こういう条件を聞いては、長作等はたまらなかった。稼手が少なくて、仕事に追い立てられている長作である。口から手が出るような思いがするのも、決して無理からぬことであった。

「ほんじゃ、長作せえいいごったら、取り換えでくんつえ。」と言って、平三爺は、痩せこけた顔を枕に押し当てた。

「なあ、長作氏。ほんでは、俺んどこにあるうぢの、一番にいい機械寄越しから……」

「ほんでも爺つあん。爺つあんが、なによりの楽しみにしていだ山茶花。――俺、なあに、手で扱いだって扱げんのだから。――せっかく、爺つあんが楽しみにしていだ山茶花……」と長作は、吐切れとぎれに言った。

「いいがら、いいがら、俺がこうして病気して、仕事にも追われでんだし、取り換えでもらえ。――俺、山茶花など、どうでもいいがら。