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くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
怪物の怪力
「では出動用意」警部は手をあげました。「第一隊は表玄関より、第二隊は裏の入口より進む。それから第三隊は門内の庭木の中にひそんで待機をしながら表門を警戒している。本官とこの少年は第一隊に加わって表玄関より進む。――よいか。では進めッ!」
警官はサッと三つの隊にわかれ、黙々として敏捷に、たちまち行動を起しました。
私はすっかり元気になって、第一隊の先頭に立ち、表玄関を目懸けて駈け出しました。
「オイ少年、静かに忍びこむのだよ」
たちまち注意を喰いました。そうです、これは戦争じゃなかったのでした。あまり活溌にやると、妖怪たちは逃げてしまうかも知れません。
玄関は静かでした。訓練された七名の警官は、まるで霧のように静かに滑りこみました。階下の廊下は淡い灯火の光に夢のように照らし出されています。気のせいか、黄色い絨氈が長々と廊下に伸びているのが、いまにもスルスルと匍い出しそうに見えます。
そのとき私の腕をソッと抑えた者があります。ハッと駭いて振りかえると、何のこと白木警部です。
「怪物のいる部屋は何処かネ」
と警部は私の耳に唇を触れんばかりに囁きました。